元HKT48伊藤来笑が語る「推しメン」とは!?~アイドルカルチャーを成長させた「推しメン」~

今回、日本のアイドルカルチャーの新たな兆候を探るため、FRIでは、元HKT48の伊藤来笑さんに記事を書いて頂きました。

伊藤来笑さんは、2012年にAKB48の姉妹グループであるHKT48に加入。HKT加入前から大のアイドルオタクであり、アイドルとして4年間活躍した後、2016年に卒業されました。アイドルに対して、アイドルの目線・ファンの目線という二つの視点を持ち、今は「アイドルに関わる仕事に就きたい」という目標を持っておられます。そんな来笑さんのアイドル論をお届けします。

■皆さんに「推しメン」や「推しグループ」は存在しますか?

この質問に対して、すぐ答えが出る、単推し(1人だけを一途に推している)方もいれば、はっきり答えを出せないDD(誰でも大好き)の方もいると思います。それに、アイドルに興味がない方やアンチの方でも「推しメン」という言葉を1度は絶対に耳にしたことがあると思います。

「そもそも“推しメン”とはなんぞや?」って思った方のために説明すると、推しメンとは「1推しのメンバー」を略したもので、アイドルグループの中の一番お気に入り、または、応援しているメンバーを意味しています。大袈裟に言ってしまえば、「推しメン」とは、ファンとしての肩書きというかサブタイトルのようなものなのです。

「推しメン」という言葉が広まったのは、10年以上前と今のアイドルの応援の形が違うということが背景にあります。昔はアイドルを応援するというと、テレビをお茶の間で見たり、コンサートに行ったりという、ファンにとって受け身での応援の仕方が多かったように思います。それに対し、AKB48の登場以降、ファンがアイドルと直接話したり、そのアイドルの育成に参加出来たりする機会が増えて来ました。アイドルがファンのためにパフォーマンスを頑張るだけでなく、そのアイドルのためにファンも頑張るという”インタラクティブな”応援の形がうまれたのです。その中で、自分が“一番推したいメンバー“という概念が広がりました。

いま、全国には約1000以上のアイドルグループが存在し、王道可愛いものから常識を超えたようなものまで、グループのコンセプトもファンも多種多様です。

その中で、ここでは昔からかわらないファンとアイドルの関係性をたもちつつ、今年20周年を迎え今もなお人気を継続し続けている『モーニング娘。』と、新しいファンとアイドルの形を作った『AKB48』を見ることで、アイドルカルチャーの変化とそこに「推しメン」が与えた影響を見ていきます。

 

■日本一の実力派モーニング娘。

今、日本で実力派だと言われているのが『モーニング娘。』に代表されるハロープロジェクトのアイドル達です。私はハロプロが大好きなのでコンサートにもよく参戦するのですが、2時間ぶっ通しで歌って踊っています。モーニング娘。は今年で20周年を迎えましたが、歴代メンバーを含めても41人しかいません。その中でも私が特に惚れ込んだのは、高橋愛さんがリーダーを務めていた2007年後半から2010年末、メディアへの露出が減る中、ツアーでパフォーマンスに磨きをかけていた、のちに『プラチナ期』と言われる時期です。推し補正と思われるかもしれませんが、このプラチナ期を超えるパフォーマンスのアイドルは後にも先にもいないと思います。ですが、今のモーニング娘。もとっても魅力的で、完全生歌のコンサートはもちろん、フォーメーションダンスや歌唱力の高さなどが再注目され、また新たなファンを獲得しています。その高いパフォーマンスには男女関係なく感動させられるので、他のアイドルの現場よりも女性ファンの数が多いように思えます。そうした完成されたパフォーマンスを、コンサートに通ったりDVDを見返したりして、ファンが一方向的に見て・聞いて・感じて楽しむという、従来型のアイドルとファンの関係を20年以上も続けているのが、モーニング娘。だと思います。

<モーニング娘。『愛の軍団』(Dance shot ver.)>

 

■ミリオンヒットを30作以上も続けるAKB48

続いて、日本で最もCDが売れているアイドルといえば、ご存じAKBグループです。

AKB48をはじめとする48グループ(48G)は、「会いに行けるアイドル」がコンセプトというだけあって、東京ドームなどどれだけ大きな会場を満員にできたとしても、ほぼ毎日250〜300人が定員の劇場で公演があるし、週末になれば握手会や写メ会が行われているので、そこへ行けば大好きな推しや、いつもテレビで観ているような超有名なメンバーに会えるんですよ。ファンからしたらたまらないですよね。

<「AKB48グループメンバー エア握手会2015」ダイジェスト映像>

 

■アイドルに人生を変えられた!!

それまではテレビで見るだけで充分だった私も、AKB48の姉妹グループであるHKT48の公演に行き、生のメンバーとパフォーマンスを見てしまって以来ずっと、毎日HKT48で頭がいっぱいになりました。そして、気づいた時には、HKT48の2期生の一員になり、それまでずっと大好きで推しメンだった宮脇咲良さんと同じチームで活動していました。私の場合はファンとして「好き」だったものが、いつからか「憧れ」になっていたのでこの過程があるのですが、だとしても「アイドルに人生を変えられた」ことに変わりはありません。HKT48の1期生さんたちがいたから、今の私が存在します。

・・・というように、気づいたらアイドルに人生を変えられた!という方も少なくないと思います。私の経験上、アイドルに興味がないような人ほど耐性がないからなのか、ズブズブと沼にハマりやすい気がします。軽い気持ちで行ったら危ないです。48Gは国内だけでも350人を超える大所帯な分、自分の需要にぴったりな子が複数いちゃったりするものです。単推しを決意してたって、可愛くて自分にドストライクな子を目の当たりにして、おまけに釣られてしまったのならそれはもう降伏せざるを得ません。私自身も、いろんな子に目移りしがちですし、そんなファンの人たちをたくさん見てきたのでわかります。笑

 

■推しメンと一緒に成長できるAKB48

そんな48Gの特徴は沢山あるのですが、1番はやっぱり「推しメンと一緒に成長できる」「チャンスを一緒に掴んで行く」というところだと思っています。特徴的なイベントをみても、ファンの投票によって歌うメンバーが決まる『選抜総選挙』はもちろんですが、オーディションに代わりファンが新メンバーを選ぶ『ドラフト会議』もそうですし、劇場公演を100回観た者だけに与えられるMVPという制度だったり、推しメンと直接会話できる握手会だったり。

このように、インタラクティブな応援の形を築き、「推しメン」の存在を通してファンであることの存在意義を存分に感じられるというところが、私が48Gの一番凄いと思うところです。

前述の通り、ハロプロやももクロのような実力派アイドルって、ファンが成長を“直接的に手助けをする”のではなくて、すでに完成されたものをみる、つまり「成長の結果を楽しむ」という応援スタイルですよね。実力派ゆえに、人気や個性よりも歌唱力やダンス力が重視されることから、新曲がリリースされる度に歌割りの争奪戦が行われます。厳しい世界ではありますが、あくまでも彼女たちは「完成したものを見せること」が前提であり、それはメンバー自身の努力次第で成し遂げて行くものであって、素人のファンが口うるさくいうことではない気がするんです。

反対に、48Gは「成長の過程を楽しむこと」に焦点を置いています。そのため、ファンは握手会やSNSを通してメンバーにアドバイスをするし、時には厳しくも言います。目の肥えたファン、そうじゃないファン、いろいろなリアルなファンの声が直接聞ける環境が48Gには常にあるので、最初は歌もダンスも未完成だった普通の女の子もファンに支えられ、見守られながら、場数を踏んでいくことでどんどん垢抜け、輝いていくのです。そして、48Gで活動していく上で避けられない、総選挙や選抜、握手会の売り上げといった直接目に見える人気の指標が、メンバーにもファンにもオープンなことから、良い意味でも悪い意味でもそれぞれを熱くさせます。

以前、「ファンとしての存在意義を感じられる瞬間や、ファンをしていてよかったって思う瞬間はいつですか?」とTwitterで質問をしたら、1番多かったのは「推しメンの笑顔を見られたとき」という答えでした。感動。やっぱり、ファンは自分が力を入れて応援している子の目標や夢を一緒に力を合わせて叶えられた時には、応援していてよかったって心から感じられると思うし、「ありがとう」って言われたら力になれてるんだって実感できますよね。それがデビューの頃から見ていた子なら尚更くるものがあると思います。推しの成長や喜びの力になれたというか、なんというか。

 

■メンバーも同じ気持ちです!

私もHKTに加入して最初の頃は、何もかも思うようにいかず辛かったし、自分のことなのにも関わらず、自分らしさというものがわからず自分を見失い、挫けそうな事がたくさんありました。でも、ファンの方がいつも握手会やSNSで励ましの言葉をくれたり、コンサートや劇場で私のうちわやグッズを持ってくださったり。何より私のことを私以上に愛してくれました。私を思って涙してくれたり、笑顔になってくれたり、いつでも味方でいてくれました。とっても心強かったです。

HKT48卒業後も、SNSを通して応援してくださっている方がいて、その方達の存在が今の私のモチベーションにもなっています。卒業してもう2年以上経ち、事務所にも所属しているわけではない一般人が、昔の肩書きを使って記事を書くことに対してどう思われるのか不安もありました。でも、私の将来の「アイドルに関わる仕事に就きたい」という目標を知っていて、今まで応援してくださっていた方々は「きっと喜んでくれる」と思い、今こうして書かせていただいています。

 

■アイドルカルチャーを成長させた「推しメン」

私も最近は、自分自身がアイドルではなくなったことや精神的に大人になったこともあり、より純粋にエンターテイメントを楽しめているというか、「普通の可愛い女の子」だった子たちが厳しい世界の中でどんどん鍛えられて磨かれて、アイドルになっていくという成長過程やストーリーを見守り、応援出来るということに、とてつもない喜びを感じるようになってしまい、よりアイドルを尊く感じ、より好きになりました。夢を持った女の子の輝き・伸びしろは本当に計り知れないです。

こんなに感情を揺さぶられて、いい意味でも悪い意味でも期待を裏切られるのは48Gぐらいだと思います。もちろん『モーニング娘。』を始め、他のアイドルにも素敵な部分はそれぞれあるけれど、ファンとしての役割を存分に味わえること、悔しいことや報われないことも沢山あるけれど、推しメンや同志と一緒に同じ感情を分かち合えたり誰かのために熱くなれること、ってかなり素敵なことだと思うんですよね。今のアイドルカルチャーの中でも、「推しメン」という新しいアイドルの応援の形に支えられてきた48Gだからこそ、これだけ大きくなれたのだと思います。

 

記事:伊藤来笑

ブログ:「RAILIFE~いとうらいらです~」(http://www.comesmile1031.com/

Twitter: https://twitter.com/raira_1031_

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