インバウンドで変わる、渋谷の宿泊事情
大人気のコンバージョンホステルとは?

「あれ?ココどこだっけ?!」 

数年後には、そう思うほどに景観が変わると言われている渋谷。

2020年の東京五輪へ向けた再開発で、街は変わり続けています。今秋には、地上35階地下4階建ての商業施設「渋谷ストリーム」が完成し、そこから渋谷川沿いの散歩道へと続いた先にも、大型の複合施設がオープンします。

こうした再開発やインバウンドを背景に、新しい施設が次々と生まれています。今回は、ユニークな施設を紹介しながら、渋谷の「いま」と「未来」について考えて行きます。

 

増える、旅行者。増える、宿泊施設

日本を訪れる外国人旅行者は年間で2,400万人以上。東京の人口が1,374万人ですから、その倍近くの人が訪れているのです。特に2014年以降、外国人の旅行者数と宿泊人数は急激に増えています。

 


旅行者数: 日本政府観光局(JNTO)
宿泊人数: 観光庁

そうなると、宿泊施設の不足が心配です。全国の施設数は2015年に不足のピークを迎えましたが、2016年に回復しています。東京では一足早く、2014年を境に右肩上がりとなっています。


厚生労働省 「衛生行政報告例」より作成

さて、ここ渋谷にも次々と宿泊施設ができていますが、中でも注目を集めているのは「コンバージョンホステル」です。

 

❚ コンバージョンホステルとは何か

コンバージョンとは、古いオフィスビルや商業施設の用途転換のこと。コンバージョンホステルとは、空きビルや築古ビルをリノベーションした宿泊施設です。「ホステル」は宿泊客が交流する場をもつ低予算の施設ですから、それが可能となる空間設計が必要となります。

まさに空間のリイマジニング(再想像)ともいえるコンバージョンですが、最近ではこちらの記事のように学校をホテルにコンバージョンした例もあるようです。(日本語のみ)

リフォーム産業新聞

 

進化する、カプセル型ホステル

コンバージョンホステルで増えつつあるのが、カプセル型のホステルです。以前は「カプセルホテル」というと男性専用が多く、残業などで帰れなくなったビジネスマン向けの「簡易的な宿」というイメージもありましたよね。

一体、どのような進化を遂げたのでしょうか?

こちらは「ザ・ミレニアルズ渋谷」の共用スペース。まるで、居心地のよいカフェのようですね。

宿泊エリアは、男性専用・女性専用のほかに「男女兼用」があり、時代に合っている印象です。
“スマートポッド”と呼ばれる客室ユニットは天井が高く、リクライニングで体を起こしても頭をぶつけることはありません。いくつかのユニットは前方のスクリーンを下ろすとホームシアターになるので、映画鑑賞をしたり旅行中にスマホで撮影した動画や写真を楽しんだりできます。機能的で、未来的な空間です。

最近では、女性専用のカプセル型ホステルも誕生しています。「NADESHIKO HOTEL SHIBUYA」もその一つです。「和」をコンセプトにしたフロアには“COCOON”と呼ばれる遮音性の高い客室ユニットが並び、かわいい浴衣が用意されています。

 

「泊まらない派」と「眠らない派」

近年、旅費を節約したいとのことで宿泊施設を利用しない旅行者も増えています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。(日本語のみ)


日本経済新聞

一方で、寝る間を惜しんで遊ぶ旅行者もいるようです。渋谷は“不夜城”のような街ですから、旅行者が深夜に買い物をする姿もよく見られます。こうしたアクティブな旅行者におすすめのスポットが、渋谷にはたくさんあります。

HOTEL KOE tokyo」に併設するアパレルショップは23時まで営業。もちろん、宿泊客でなくても利用できます。スマートレジを導入しているので21時以降は無人です。先ほどの「ザ・ミレニアルズ渋谷」もここから歩いて10秒ですが、この辺りはカフェやセレクトショップが多い人気のエリアです。

 

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都内最大級のディスカウント・ショップ「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」は24時間営業です。日本各地のお土産が買えることもあり、外国人旅行者に人気です。こちらのサイトに英語で紹介されています。


BEST LIVING JAPAN

 

女性がいるところに、最先端あり!?

あまり知られていないですが、外国人の旅行者でも深夜に利用できる24時間営業のネットカフェがあります。18歳以上であることと、パスポートなど旅券の原本が必要ですが、深夜のショッピングのついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。女性でも安心して立ち寄れるスポットです。

グランサイバーカフェ バグース 渋谷文化村通り店」は、MEGAドン・キホーテから歩いてすぐ。コミックやゲームはもちろん、VR体験もできる“最先端ネットカフェ”です(VRゴーグルのレンタルは有料¥300)。女性専用エリアもあるので深夜の利用も安心です。スタッフの対応は簡単な英語のみということですが、メニューを見ながら手続きを行うので心配ありません。

 

グランサイバーカフェ バグース渋谷文化村通り店の近未来的なロビー

 

Hailey’5cafe渋谷店」は、全室「オートロック」「防音」の“最先端ネットカフェ”です。「共有スペース」もあり、まるでコンバージョンホステルの雰囲気ですが、宿泊施設ではありませんのでご注意を。プライベートが守られて静かなので、ビジネスマンがコワーキングスペースとして利用することもあるそうですが、圧倒的に女性客が多いとのこと。店内の雰囲気をみれば、一目瞭然ですよね。


カフェのようにおしゃれな受付カウンターと共有スペース

ドリンクやソフトクリームは無料でお替わり自由です。また、有料ですがシャワー室やお店で手作りするフードメニューもあります。一日限定6個の「オリジナルプリン」は特に人気です。無添加で日持ちしないので、数個のみの販売となっています。


季節ごとに替わるソフトクリームが食べ放題

リピーターも多い、手作りの「オリジナルプリン」

予約した時間内であれば出入りが自由なので、ここを拠点に街を散策するのも楽しそうです。オートロックですが、貴重品は持って行きましょうね。英語対応が可能なスタッフもいて、将来的には精算機も英語と中国語対応が可能になるそうですので、外国人旅行者でも気軽に利用できますね。

街を歩いて分かったこと

今回、街を歩いてみて、渋谷の「いま」と「未来」について2つのことがわかりました。

1)カルチャーが生まれるより速く、渋谷の街は変化している

1980~1990年代に多くのカルチャーを発信してきた渋谷ですが、近年では「渋谷からカルチャーはもう生まれない」とまで言われています。しかし実際には、同時多発的に起こる大小さまざまな変化に私たちが追いついていないのかもしれません。そのため、2020年を迎えた際、急に街が変わったと感じる人も多いでしょう。また、多くの複合施設の完成により、施設間をつなぐ“動線”も変わり、「渋谷」「代官山」など地域の境目も曖昧になって行くことでしょう。

2)インバウンド向けは、日本人にとっては新鮮である

インバウンド向けの空間は、日本人にとって新鮮で心地よいものでした。渋谷ではたらく筆者でさえ、「海外旅行に来ているようで楽しい!」と思ってしまうほど。特に、コンバージョンホステルはユニークな空間設計が多く、外国人旅行者とも交流できるので、ほどよい非日常感を味わえます。国内旅行者にとっては、「大人の修学旅行」のような体験ができる場所といえます。今後、コンバージョンホステルを利用する国内旅行者も増えていくのではないでしょうか。

渋谷であって渋谷でない。渋谷でもあり外国でもある。渋谷の街は、まだまだ変化して行きます。

 

(記事:菅ななえ)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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