AKBグループと乃木坂・欅坂の坂道グループ…アイドル戦国時代の未来とは ~データから見えてきたグループ拡大のために目指すべき道~

まだまだミリオンセールスを続けているAKB48と、勢いが止まらない乃木坂・欅坂(坂道グループ)。飽和していくアイドル市場の中で、進むべき道とは、ターゲットにすべきファンはどこにいるのか。当社の実施したアンケート調査の結果から、彼女らの知名度・人気、ファン層等を分析したところ、予想外のことが分かりました。新規ファンを獲得するために必要なこととは何か、独自の考察を行いました。

 

■圧倒的認知度のAKB

当社フィールズ総研が、毎年12月に実施している余暇に関するアンケート調査「Fields Yoka Survey (※1)」(以下、FYS)の結果から、まず認知度を見てみます。すると、やはりAKBが圧倒的で、乃木坂、欅坂と続きます。全体でみると欅坂であっても55%以上の認知は持っており、認知度でいけばAKBはもちろん坂道グループも十分に国民的グループだと言えるでしょう。

グラフ①:性・年代別3グループの認知度

 

■やはり勢いがあるのは坂道グループ

次に、この3グループの認知者のうち、「とても好きだ」と回答した人(以後「好意者」と呼びます)の割合を世代ごとに見てみます。すると、女性若年層と男性ではほぼ全ての世代で、坂道グループの人気が高いことが分かります。世間で「今は坂道グループの勢いがある」と言われていることが反映されている結果になったと思われます。特に、男性は清潔感があり美形が多い乃木坂、女性(若年層)はクールでアーティスティックな魅力がある欅坂が(男性と比較して)人気な様です。

グラフ②:認知者のうち、「とても好き」だと回答した人(好意者)の割合

 

■アイドルグループの「好意者」はお金を使わない!?

この様な結果を見ると、今はAKBよりも人気が高い坂道グループの周りに大きな市場が出来ているのでしょうか。そうするとAKBは、坂道グループが獲得したような好意者を再び増加させることが重要になるのでしょうか。ここで見てみたいのは、この3グループの好意者が彼女らにどれだけお金を使って良いと思っているかです。その調査結果は以下の様になりました。

グラフ③:3グループの好意者が使っても良いと思える金額

まず、グループによる数字の違いは微々たるものしかありません。どのグループの好意者にとっても、あまり使いたくないと思っている人達が50%近くおり、使えるだけ使いたいと思っている人は9%程度しかいないのです。この3グループは、CDに握手券を同封することでCDを大量に買ってもらい(握手券商法)、売り上げを伸ばしていることで知られていますが、この結果を見るとCDを大量購入しているのは最大でも9%程度の非常に少数の人達であることが分かりました。(ちなみに、握手権商法はファンからの批判はあまり出ておらず定着しています。)このように、好意者全体の率には差があっても、「お金を払ってまで応援しようと考えている好意者」(以下、「ファン」と定義)の数には微々たる差しかなく、ただ好意者全体の数を増やしていくことが重要だとは一概に言えません。

 

■イベントに参加するアイドルファンには、アニメ・声優好きが多い!?

では、この3グループの好意者は、どれほどアイドルイベントに行っているのでしょうか。これを見てみると、3グループのいずれかの好意者のうち、直近1年間にアイドルのイベントに行った人は2.7%に過ぎませんでした。前述の使いたいと思う金額を見ると、「使えるだけ使いたい」と回答している人が9%いるにも関わらず、実際にイベントに行った経験がある人は2.7%なのです。「とても好きだ」「使えるだけ使いたい」と答える人はこれだけ多くても、実際にイベントに行って応援している人は非常に少数だということが分かりました。「会いに行けるアイドル」がコンセプトのアイドルに「ほぼ会いに行っていない」というのは驚きの事実です。(これら3グループは、CDさえ買えば必ずメンバーと会えるイベントである「全国握手会」を実施しており、会いに行きたいのに行けないということは基本的にないのが特徴です。)
以上を踏まえると、好意者を増やした所で、大多数の好意者は消費行動には移ってくれず、中々ファンの増加には繋がらないということが言えると思います。では、ファンを増加するにはどのあたりをターゲットにすれば良いのでしょうか。そこで、この調査の中から面白いデータが見つかりました。なんと、この3グループいずれかの好意者が、アイドルではなく「アニメ系のイベント(アニメ・マンガ・ゲーム・声優のイベント)」に参加しているかどうかを調査した所、参加率が5.9%だと分かったのです。低い数字ではありますが、アイドルをとても好きだと言っているにも関わらず、「アニメ系イベント」に参加している人が2倍以上も多いのです。

グラフ④:いずれかのアイドルグループの好意者のうち、アイドルイベント・アニメ系イベントへ参加した人の割合(直近1年)

アニメ系イベントにも色々な形がありますが、アニメ系イベントに参加しているということは、コンテンツを楽しむに当たってイベントに参加して応援することに抵抗がないという人達だと言えます。アイドルイベントへの参加には高いハードルがあるのだと思われますが、その辺りへの抵抗感が薄い彼らは、アイドルファンになる適性が最も高い人達だと思われます。仮に、アイドルイベント参加者がアニメ系イベントにも参加していたとしても、アニメ系イベントへの参加者が2倍以上も多いということは、今3グループのイベントに来ている人数より大きい市場が、ここに広がっているということだと言えます。

 

■アニメ文化とアイドル文化の急接近

2000年代は、AKBなどのアイドル文化もアニメ文化も、秋葉原が聖地と言われながら両文化に交流はなく、特にアニメファンはアイドルの握手券商法などを批判し、アイドル文化を毛嫌いする傾向にありました。しかし、このように近年ではアニメファンとアイドルファンが重なってきている傾向にあると言えます。これには、『ライライブ』や『アイドルマスター』など、アイドルをモチーフにしたアニメやゲームのヒットとその声優のアイドル化が原因のひとつにあるように思われます。また、次第にアニメビジネスの中でも、「コンサートの抽選に当選する(確率を上げる)ためにはCDを複数枚購入する必要がある」というものが生まれ、アニメファンの中でも握手券商法に類似したものが受け入れられ始めたことも理由かもしれません。
であるならば、アイドルグループが新しいファンを獲得するには、単に好意者の獲得を目指すのではなく、好意者の中でも「アニメ系イベントには行ったことがあるが、アイドルイベントには行ったことがない」というような人をターゲットにすることが重要だと考えられます。その人達の中から、ジャンルを超えて大勢のファンを獲得したグループが今後勝ち残っていくと言えるでしょう。そうして勝ち残るには、「アイドルが好きだと答えているにも関わらず、アイドルイベントよりも優先してアニメイベントに参加されてしまっている」現状の理由を解明し、改善していくことが重要になると思われます。一回当たりの参加費用なのか、距離感・時間等の満足感なのか、イベント参加への煩雑さなのか、ファンの目線でそれを考え改善することで、「イベントに行くならまずこのグループ」という流れを確立できたグループが最も息が長くなると思われます。

 

■アイドルグループの今後

現状を振り返ると、AKBと坂道グループは「とても好き」だと回答する人を比較すると差があるように思われますが、実際にイベントに参加して全力で応援しようと考えている「ファン」の数はどちらも非常に少数で、あまり差がないことが分かりました。どのグループも、より大きな夢を叶えるため新規ファンの獲得を課題に考えていると思われますが、「単なる一過性の好意者」ではなく「ファン」を獲得するには、アニメ系イベントへ参加している人達への訴求が重要になると思われます。
もし将来、AKBがアニソン最大のイベントAnimelo Summer Liveに出演し、割れんばかりの拍手を浴びることになれば、再び夢の東京ドームへ立てる日がすぐそこに近づいていると言えるのかもしれません。

 

(記事:K.Kimura)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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(※1)「Fields Yoka Survey 2018」
2017年12月に、全国の小学生~69歳の男女11,642人に対し、余暇に対する行動や、価値観などについて実施したWebアンケート調査。
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