閉鎖的な日本の音楽業界に新しい波が!! AKB48と韓国のオーディション番組がコラボした『Produce48』プロジェクト!

2017年は、TWICEがK-POPグループとして6年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場。また、Billboard Music Awards(アメリカ三大音楽授賞式のひとつ)でTop Social Artist部門を受賞するなど世界を席巻した防弾少年団が、ドームでのコンサートを行うなど、日本においてはKARAや少女時代が日本デビューしたとき以来のK-POPの新たな潮流の年だったのではないでしょうか。
そんな昨年、韓国の音楽チャンネルMnetが主催しているアジア最大級の音楽授賞式MAMA(Mnet Asian Music Awards)が、日本でも初めて開催され、AKB48の総合プロデューサー秋元康氏がInspired Achievement賞を受賞し、その際に、今ではMnetの看板番組となった公開オーディション番組「Produce101」のシーズン3にあたる「Produce48」が2018年に放送されると告知がありました。
AKB48とのコラボ企画で秋元氏がプロデュースに加わると言われているこの番組がどんな番組になるのか、まだ詳細は明かされておりませんが、「Produce101」からみて、「Produce48」の姿と、期待できることを考えてみたいと思います。

■AKB48とI.O.Iによるコラボレーション舞台

昨年11月29日、横浜アリーナで行われたMAMA in JapanにAKB48が招待されました。MAMAは、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどでリアルタイムに放送され、これらの国以外でもインターネットで配信されている、K-POPファンにとっては世界的に有名な授賞式です。
歌やダンスのスキルが高いと言われるK-POPのアーティストと一緒に、AKB48が出演するとどうなるのだろうと少し心配でしたが、「Produce101」でデビューしたガールズグループI.O.I(アイオーアイ)他とのコラボレーションで、総勢約60名の舞台は圧巻で、華やかでした。
明らかにK-POPファンに埋め尽くされているであろう客席が『ヘビーローテーション』を一緒に歌うので、舞台端で鑑賞していた別のアーティストが、何度か客席のほうを振り返って見ていた姿が印象的でした。AKB48はK-POPファンでも一緒に歌えるほど、今や日本の代表的アイドルであることを実感し、世界的にライブ放送でお披露目される良いタイミングであったように感じました。

■韓国で社会現象を巻き起こした「Produce101」シーズン2

「Produce101」は、様々な芸能事務所などから参加した101名の練習生の中から、視聴者が(韓国)国民プロデューサーとなってインターネットサイトで投票し、上位11名を選抜して、期間限定でアイドルグループをデビューさせるというプロジェクトであり、そのサバイバルオーディションの過程を放送したリアルバラエティ番組です。
2016年のシーズン1からデビューしたI.O.Iも人気を博しましたが、特筆すべきは、2017年のシーズン2から誕生したボーイズグループWanna One(ワナワン)です。
8月にデビューショーケースを約2.5万人収容できる会場で行いましたが、チケット発売時には53万人が一度にアクセスしてサーバがダウン。デビューアルバムが2000年以降初のミリオンセラーを記録し、特に1位になりセンターの座を獲得したカン・ダニエル君は、“カンダニエル・シンドローム”と言われるほど爆発的人気です。韓国国内外で絶大なる人気を誇るEXOや防弾少年団をしのぐ勢いで、2018年1月のアイドルグループ「ブランド評判」(韓国企業評判研究所)の1位は Wanna Oneでした。「Produce101」は、韓国国外においてもCS・ケーブル・ストリーミング配信サービスなどを通して視聴可能だったため別途海外進出のプロモーションをするまでもなかったのか、Wanna Oneは日本でもよく知られており、MAMA in Japanが初来日だったにも関わらず、男性新人賞を受賞。パフォーマンスのステージの際も、客席にはWanna Oneのペンライトを持ったファンが数多くいました。
さらには、この番組において選抜の11名に入らなかったメンバーからも、ファンの声でデビューしたJBJなどの歌手グループがすでに複数デビューしており、音楽チャートに次々とチャートインするなど社会現象になっています。

■番組の構成

「Produce101」は練習生が101名で11名が選出されましたが、「Produce48」は48名を選出するかもしれず、また、例えばAKB48の「会いに行けるアイドル」のコンセプトなどを考えると、「Produce48」の番組構成はシーズン1・2とはまったく異なるものになるのかもしれませんが、ここでシーズン2を振り返りたいと思います。
「Produce101」は、視聴者が国民プロデューサーになることが大前提であり、最終的にはその順位がすべてでした。放送開始から公式サイトがオープン。毎日投票できる仕組み(詳細は省略)になっており、韓国語サイトではありますが、メールアドレスに加えてFacebookやTwitter認証もできるので、韓国国外からも投票しやすくなっていました。「Produce48」も同じ仕組みがある場合、AKBファンの投票行動への力の入れ具合を考えると、さらに投票数は上がると推察します。
シーズン2は韓国の3大芸能事務所(SM、JYP、YG)を除く52の事務所からの練習生と、一般応募から101名の練習生が集まりました。シーズン2の国民プロデューサー代表(番組進行を兼ねる)はBoAさん。海外でも活躍した第一人者で憧れの大先輩であり、自分も練習生だった経験もあるBoAさんは、練習生にとって良き理解者であり、良い代表だったと練習生からも視聴者からも共感を呼んでいます。「Produce48」では誰が代表になるのか、そこにも注目です。
また、K-POP業界で有名で、自身もアーティストである講師たちが愛情を持って厳しくトレーニングし、導いていく様子が度々放映されます。練習生は期間中同じ宿舎に寝泊まりし、最初はクラス分けされるので、上のクラスに上がれるようセンター獲得のため努力したり、生き残りをかけたグループ対決では、メンバー間での衝突を乗り越えたり励ましあったり。その際の振る舞いも国民からの投票に反映されており、そこが面白味の一つでもありました。思うように体が動かなかったり、力を出し切って感極まって涙したりする姿は、もらい泣きするほどでした。参加するAKB48のメンバーにもそんな姿を期待しています。
シーズン2では、NU’ESTなど、すでにデビューしていたグループも出場し、番組終了後人気が出るという現象もありましたが、番組出場中は、練習生として他と変わりなく評価され、結果NU’ESTから最後の11名に残ったのは1人でした。AKB48は、メンバーによって知名度に大きな差がありますが、それを考慮せず、番組内の評価のみで結果が判断されると、今までスポットが当たらなかったメンバーに注目が集まることもあるかもしれません。

■最後に

K-POPが戦略的にSNSやストリーミングサイトで動画などを配信していることと並行して、日本においては、昨年あたりから特に、K-POPを視聴する主要な媒体が地上波のテレビからケーブルテレビへ移行し、さらにはYouTubeなどの動画サイト、Mnet smart やV Liveなどのストリーミングへ移行しています。
その結果、K-POPのファン層の中心は韓流ドラマなどからK-POPを好きになった50歳以上の女性から、現在は20代・10代へ移行しており、ライブ会場には多くの女子高校生が足を運んでいます。同時に、先日NHK『クローズアップ現代』でも取り上げられましたが、「自分もK-POPのステージに立ちたい」と思う日本人の10代の男女が出てきて、実際にTWICEのミナさん・サナさん・モモさんや、JBJのタカダケンタ君など、複数の日本人がデビューを果たしています。そのような流れが生まれているこのタイミングで「Produce48」の企画が立ち上がったことは、とてもタイムリーで、日本の閉鎖的な音楽業界に新たな風が吹くきっかけになるのではないかと思います。
また、AKBは(もうファンが中年男性ばかりで)もはや一般女子からの支持はないかと思いきや、データ的には未だ10代女子から高い好感度を得ていることが分かります。

出典:Fields Yoka Survey 2018(※1)
※ 区分の都合上、20代には19歳の人が含まれています

このプロジェクトは、日本で最も流行に敏感な女子高生世代を狙ったものであり、2018年の日韓の音楽業を席巻する兆しがあります。1月には、“「Produce48」スタッフが、日本と韓国を行き来して、プロフィール映像を撮影するなど準備を開始。シーズン1・2と同じく演出を任されたPDが進行している。”と報道があり、また“今年5月放送予定”の発表がありました。各国のファンを取り込むべく多国籍のアイドルグループを展開する韓国芸能事務所と、育成型アイドルのプロモーションの先頭を行く秋元康氏との共同の取り組みがどのような化学反応を起こすのか、引き続き注目していきたいところです。

 

(記事:橋本)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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(※1)「Fields Yoka Survey 2018」
2017年12月に、全国の小学生~69歳の男女11,642人に対し、余暇に対する行動や、価値観などについて実施したWebアンケート調査。
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