渋谷ストーリー Vol.14 道玄坂

遊具とトイレと水飲み場。公園。ここに集うのは誰だろう。子供?サラリーマン?小さな閉じられた空間で、パンダは目を見開く。ライオンは侵入者を監視する。彼らの視線が、友好的に見えないのは、私の心持のせいなのだろうか。

ふと足を止めた店のショーケースにあったマスク。ベネチアのマスクだろうか。途方もない違和感をあたりにまき散らしているが、それをも包含してしまうところがシブヤの包容力だろう。うつろな目は、しかし、しっかりとこの街を見守っている。

道玄坂をはじめとした、坂の町の痕跡。古いコンクリートの階段が小さな坂を上っていく。最もシブヤらしい光景だと感じる。渋谷とシブヤが重層する瞬間。シブヤは今も生きている。

隣家が取り壊され駐車場になったことで、あらわにさらけ出された路地。ここにも植物が植えられている。シブヤという特別な場所の中にも、そこに住む「普通の生活」がある。ここに住む人たちは、シブヤをどう感じているのだろうか。ハレとケの同居する街。シブヤは面白い。

坂の上から、下を見下ろす。車の入れない小さな坂。小さな坂は人だけの道。途中で人が立ち止まって、一息つく。きっと住んでいる人は不便で退屈な場所だと思っているのかもしれない。でもこんな場所が、人の暮らしには向いているんじゃないだろうか。

(写真:瀬尾 太一)

[ Japacon× FIELDS Research Institute ]

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