『恐竜ライブ DINO SAFARI』 -動く恐竜の誕生秘話-

-その8mにおよぶ巨躯の動きは驚くほど速い、あっという間に捕獲の間合いに踏み込んでくる、目は爛々として「話せばわかる」という感じがまったくしない-
現在、渋谷ヒカリエで開催されている『恐竜ライブ DINO SAFARI』。リアルな“恐竜”という生き物を体感できる公演をレポートします。

■“恐竜”を再現!

子供のころ誰もが一度は憧れるのが“恐竜”という存在だ。映画においては、1993年に公開された『ジュラシック・パーク』があった。当社調べによると、この作品の認知度は国内の全世代で98%、好感度は全世代で37.2%、男性20代だと58.3%と非常に高い。シリーズの最新作『ジュラシック・ワールド』は世界歴代興行収入の4位に輝いている。
ゲームにおいても『ディノクライシス』をはじめ、数々のヒット作が世に送り出された。
エンタテインメントにおいて、“恐竜もの”は確固たるカテゴリーを形成していると言っても過言ではない。

そんな恐竜をリアルに再現しようと挑戦を続けているクリエイティブ集団がある。埼玉県にスタジオを構えるON-ART社だ。

■“恐竜”のリアルさに驚く!

4月17日、『恐竜ライブ DINO SAFARI』のメディア向け公開練習が行われた。これまで恐竜博や教育的なイベントにサプライズ的に登場してはいたが、今回初めて物語のある舞台作品として上演される。ストーリーは「現代でも恐竜が生息する特別区『DINO SAFARI』を舞台に、草食恐竜で比較的おとなしい、トリケラトプスの生態を観察するサファリ体験が、突如、獰猛な肉食恐竜たちに襲われて、ついには、最強の肉食恐竜、ティラノサウルスが登場し…!?」といった内容だ。
練習では最初に全長8mのティラノサウルスが登場。その後、フクイラプトルなどが登場し、最後に今回の公演が初登場となるトリケラトプスが登場した。

公開練習に使われたスタジオ

芝生状のシート

トリケラトプス 制作に6か月かかっている

まず驚かされるのは、その動きの速さだ。会場には芝生上のシートが敷いてあり、そこに観客が座るのだが、そのシートとシートの間を恐竜たちが縦横無尽に動きまわる。
物語の進行役であるガイド役の他に、レンジャー隊と呼ばれる恐竜の動きを補佐する人が3名、各恐竜の周りをグルグル回っている。おそらく恐竜はレンジャー隊との距離感を計って動いていると思われるのだが、それにしてもよく観客とぶつからないものだと感心させられる。目の前ギリギリを次々と横切っていく。そして何より、動きや質感、鳴き声のリアルさに驚かされる。まるで生きているかのようだ。特に時々瞬きをする無機質な輝きをもった目が怖い。
途中、ガイドが襲われたり、観客が襲われたりしながら物語は進み、クライマックスはティラノサウルスとトリケラトプスが対決する。全編で50分ほどの公演だ。

ガイドさんが食べられる!(何か楽しそう)

観客も襲われる!(こちらも…)

■“恐竜”作りに挑む!

ON-ART社 代表 金丸賀也さん

代表の金丸賀也さんによると、ON-ART社は元々博物館に展示してある造形物を制作する会社だったと言う。しかし徐々にニーズが減っていき、10年ほど前から、「どこにもないものをつくり出していかなければ、ビジネスとして生き残っていけない。」と考え、動く恐竜を思い立ったという。
恐竜研究者などに話を聞いたりしながらも、基本は自分たちで勉強し、ひたすらリアルさを追及した。恐竜は鳥から進化したという説を採用し、動きや骨格の作りは鳥を参考にしたのだとか。恐竜は中に人が入って操作している。”DINO-TRONICS”と名付けたリアル自立歩行恐竜型メカニカル・スーツだ。操作する人が前後左右のモニターで周囲を確認しながら、複数のレバーやハンドルを操作して動かしている。最もこだわったのは「呼吸感」だという。確かに鳴き声を出すときの細かい首の動きなど、「呼吸感」いわば“生きている感”をとても感じる。リアルな動きを追及してそれが増す度に、“怖さ”が増していったと金丸さんは語る。
※因みに鳴き声は想像するしかないため、ライオンやゾウなど、猛獣系の動物の啼き声を、何種類も混ぜ合わせて加工している。

作り始めて10年、試行錯誤の繰り返しで何度も作り直したという。はじめて作ったアロサウルスは既に五世代目だとか。その中で大きな転機があった。「壊れてもいい!」という発想の転換だ。それまで堅牢な恐竜作りを目指していたが、3年ほど前、壊れてもすぐに修理すればいいという発想に辿り着いた。これが技術的なブレイクスルーにつながり、徹底した軽量化につながり、動きも速くなった。細かいしぐさが出来るようになりリアルさが増した。操作に耐えるギリギリの強度で作り上げているという。

■いよいよ公開へ!

4月26日、いよいよ公演開始となた。スモークや電飾を使い、派手な演出も盛り込まれ、より迫力が増した。

金丸さんはやはり子供たちに見てほしいと語る。「かつてこんな存在感のある生き物が、地球上に生息していたことを知ってほしい。そして生き物の凄さを感じてほしいです。」
今後は海外への展開も視野に入れているという。唯一無二を目指したものづくりが実を結びつつある、そう感じた。

『恐竜ライブ DINO SAFARI』
http://dinosafari.jp/

(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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