アニメ制作会社『サンライズ』の作品作りへのこだわり -前編-

国内外に熱狂的なファンも多い、日本を代表するアニメ制作会社・サンライズ。バンダイナムコグループの一員として意欲的に活動を続けるサンライズは、40年の歴史のなかでガンダムシリーズを中心に数多くのヒット作を生み出してきました。そのアニメ制作におけるスタンスについて、第一スタジオの小形尚弘プロデューサーにお話を伺いました。ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム サンダーボルト(以下サンダーボルト)』の制作秘話もお見逃しなく!

サンライズが生み出したあまたのモビルスーツが点在し、

SFロボットアニメの歴史を紡いできた同社のクリエイティビティを感じさせられた

 

――サンライズの今、そして今後の方向性をお聞かせいただけますか?

歴史のある会社ですから、世間の皆さんは「サンライズはこういう作品を作る」と分かっています。最初にくるのは「ロボットものを作り続けている会社」ということです。でも少し前からは『TIGER & BUNNY』(※1)や『ラブライブ!』(※2)のように今までにない特色のオリジナル作品も作るようになりました。漫画や小説原作のアニメ化も手がけていますし、伝統に独自色をしっかりと入れていこう、というのが今のサンライズの方向性です。

※1:特殊能力者の活躍をスタイリッシュに描いたヒーローもの
※2:スクールアイドルたちの成長を描いた女性キャラもの

――作品の幅は本当に広がってきていますよね。『ラブライブ!』がサンライズ制作だと知って驚いた人も多いと思います。

たしかに10年前のサンライズでは考えられませんでした。僕自身、10年前にサンライズのアイデンティティを聞かれたら、迷わずロボットやSFだと答えていました。でも今は時代に応じて新しいものに挑戦し、そのなかで大看板のガンダムを作り続けるスタイル。サンライズにはスタジオが10箇所ほどあり、それぞれの特色がかなり出ているので、これからも柔軟に対応したいと思っています。

――息の長いガンダムシリーズですが、ファンの期待に応えて定期的に作られています。新作始動のタイミングはどう決まるのでしょうか?

ガンダムはサンライズだけではなくバンダイナムコグループの大事なIPのひとつですから、グループ全体の戦略によって制作が決定するものもあれば、サンライズ側から提示する場合もあります。

会議室には数多くの”ガンプラ”が置かれていた

――最新作の『サンダーボルト』(※3)はどういった経緯でアニメ化が決まったのでしょうか?

スタジオのメカアニメーターがアニメ化を希望したのが始まりです。その頃、第一スタジオはメカものを続けて制作しており、スタッフも脂が乗ってきたところでした。それで、この勢いのままもう1本くらいメカものをやりたいなと考えていた時に、ちょうどバンダイナムコグループでも『サンダーボルト』のメディアミックス展開を考えていた時期だったので、意見が合致してアニメ化が決まりました。

※3:一年戦争を舞台にした「ガンダム」シリーズ最新作。太田垣康男氏による人気漫画をアニメ化した作品。

現在のサンライズは時代に応じて新しい作品に挑戦し続けている

――やはり太田垣先生とは綿密な打ち合わせを?

シナリオは綿密な意見交換をした上で進め、絵コンテ以降をほぼ任せていただいた形です。細かい部分はこちらで手を加えたものも多いですね。『サンダーボルト』は太田垣先生がファーストガンダム(シリーズ初代作)の世界観を独自の観点でリファインした、言ってみればパラレルワールド的な作品ですが、アニメとしては旧来のファンのことも考え、制服やスーツのデザインなどはわざとファーストガンダムに近づけています。

3D制作が行われているエリア。モビルスーツなどをデジタルで立体化して、動きをつけていく

――ずっと作り続けている歴史が成せる業ですね。

ガンダムもそれ以外の作品も、40年分の資料をすべて保管しているんです。それを土台にすればさまざまな応用を効かせられる。特にガンダムには宇宙世紀という同じ流れでつながっている作品群があります。膨大な資料があるからこそ『サンダーボルト』にしても、同じ時間軸の設定を引っ張ってきて厚みを増すことができます。

3Dモデルを確認中。全周に渡ってスキのない作り込みができるのが、3Dの魅力のひとつ

――細部にこだわるガンダムシリーズは、他の作品も相当な打ち合わせがありそうですね。

たとえば『機動戦士ガンダムUC』(※4)はモビルスーツ(以下MS)の動き、兵器ひとつをとってみても本当に細かい打ち合わせを要しました。ガンダムのMSが好きなファンは、そのMSの進化の変遷とシリーズの変遷とのリンクを理解した上で観ます。そこでこちらは、世界観を崩さないためにもMSの発展性や機能の変化など、各作品での特徴を踏まえてアクションさせなければならない。アニメーターは自分の感性で動かしたいという気持ちがあるので、そのあたりのバランスは難しいところでもありますが。

※4:圧倒的な映像美が話題を呼んだヒット作。劇場でのイベント上映およびブルーレイ販売、インターネット配信、のちのテレビ放映と複数の形態で公開された。

複数のスタジオを常に稼動させ、それぞれのスタジオが独自色を出しながら高品質な作品を生み出していく

「機動戦士ガンダム サンダーボルト」第2シーズン

3月24日より有料配信中
http://gundam-tb.net/

>>FRI’s eye:アニメ制作会社『サンライズ』の作品作りへのこだわり -後編-

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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