『TOKYO ART CITY by NAKED』 ―エンタテインメントの仕掛け人 村松亮太郎氏に聞く― 後編

「都市とはアートである」をコンセプトに開催された、『TOKYO ART CITY by NAKED』のレポート、そしてクリエイティブディレクター村松亮太郎氏のインタビューの後編をお届けします。

『TOKYO ART CITY by NAKED』

村松亮太郎氏

■-朝-昼-夜---夜中-

薄暗い街がほんのりと明るくなり始める。雀の鳴き声などとともに朝日が差し込むと、やがて出勤の雑踏や電車や車の音が徐々に大きくなっていく。『TOKYO ART CITY』が朝を迎えたのだ。

――プロジェクションマッピングを始めた経緯は?

村松氏:元々映画を作りたくて、役者をやっていました。最初はなかなかうまくいかなかったのですが、ちょうどその頃、米国の俳優ショーン・ペンが『インディアン・ランナー』という作品を創ったんですね。役者でも映画が作れるんだと、そのことに勇気をもらい、役者仲間を集めて映像作品を作るようになりました。
今でもショーン・ペンは自分のヒーローです。

映像作品を作っていたころ、プロジェクションマッピングという手法があることを知り、自分で機材を買ったりして研究を始めました。そして97年ネイキッド社を作って本格的にプロジェクションマッピングを始めました。

日が昇り、全体が昼間の喧騒に包まれる。多くの人が街を行き交い、『TOKYO ART CITY』に活気が宿る。

昼間の東京駅

――プロジェクションマッピングの魅力は?

村松氏:映画など映像作品はフレームの中で展開します。プロジェクションマッピングはフレームを飛び越える。その意味では映画を超えた表現だと思っています。
お客さんがプロジェクションマッピングの作品にタッチする瞬間が大切です。その瞬間にグッとくるか、感動させられるか。それを間違えると作品として成立しません。

やがて日が傾き、街は徐々に暗くなっていく。あちらこちらに明かりが灯り始める。夜こそ人工的な光に満ち、都市がアートする時間帯だと村松さんは言う。
シンボリックな建物がそれぞれのプロジェクションマッピングで彩られる。東京国立博物館は歌舞伎が表現され、日本人のメンタリティーがそこに宿る。
空港では東京がグローバルな街であることが表現される。
そして東京タワーの展望台に上ると、ジオラマの全体が俯瞰できる。

東京国立博物館

空港

そして東京は夜中を迎える。『TOKYO ART CITY』のハイライトだ。

夜中の東京駅

東京駅から無数の光の粒子が溢れはじめる。都市を構成している要素(建築、文化、歴史、サブカル、人の営み)を粒子に見立て、それが空間を飛び回り、やがて集積し都市を形成していく様子を表現しているという。

部分部分では緑色に輝く。これは都市の自然だ。東京では無機と有機の境目が限りなく曖昧になっているのだ。

東京駅から光の粒子が溢れはじめる

都市の自然を表した緑の光

そして“雨が降り始める”。新宿のドコモタワーから、情報の水流が流れ始め、やがてジオラマ全体を覆う。東京に情報の雨が降るのだ。
その情報の雨はネオンサインに形を変える。至る所にネオンサインが灯る。そして情報は個人のスマホやタブレットの情報端末に流れ込む。端末画面をイメージした四角い枠が全体に溢れ、それぞれに「おはよー」などの文字が躍り、それぞれがソーシャルに繋がっていく。

それはやがて光の渦となって街全体を包み込む。観客を包み込む。

情報の水流が流れ始める

ネオンサイン

ソーシャルな繋がりをイメージ

――これからの活動は?

村松氏:2020年に向けて東京は肥大化していきます。この『TOKYO ART CITY』も
それに向けて肥大化していくゴールのないプロジェクトだと考えています。
表現方法も少しずつ変えていき、都市のように命を持ったプロジェクトに成長させていければと思っています。
そしてライフスタイルの提案まで広げていければと思っています。

光に包まれる

■エピローグ

村松氏の『TOKYO ART CITY』プロジェクトの醍醐味は、バーチャルな作品でありながら、東京のリアルと常に連動しているところにあると思います。
東京も進化を続け、バーチャルな表現方法も技術的な進化を続け、村松氏のようなクリエイターによる作品も進化を続ける。
エンタテインメント分野において一ジャンルを確立した感のあるプロジェクションマッピングの行く末を、期待を持って見守りたいと思います。

『TOKYO ART CITY』
http://tokyoartcity.tokyo/

『TOKYO ART CITY』第二弾
http://naked-inc.com/news/1223

>>前編はこちら

(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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