はじめての「コミックマーケット」

昨年末12月29日から31日まで、東京ビッグサイトにて、「コミックマーケット91」(以下コミケ)が開催されました。史上最大規模で行われ、55万人が参加したコミケの今をレポートします。

「コミックマーケット91」会場の様子

■初めて参加する!

アニメ、コミック、ゲームなどエンタメ好きにとって、年2回の大イベント「コミックマーケット91」が開催された。今回は東京ビッグサイトに新設された東棟7、8ホールも会場となり、広さにおいて史上最大規模での開催となった。(今年からオリンピックに向けた当会場の工事が始まるため、この規模の開催は1度きりとなる。)3日間で来場者数は55万人(当イベント歴代3位)に上り、まさに日本有数のイベントとなっている。

そんなコミケに筆者は“初めて”の参加となった。
まずはとにかく人の多さに驚く。会場は大きく分けて、企業ブースエリア、同人誌エリア、コスプレエリアの3つになるが、いずれのエリアも凄い人の渦となる。特に目当ての商品を手に入れるために多くの人が並ぶ午前中は凄まじい。
そして会場が広くて複雑だ。東京ビッグサイトの東棟、西棟、屋外展示場と使われ、さらに4階、屋上展示場と、横にも縦にも広がっている。
会場には大まかな案内板しか出ておらず、関係者しか使えないエレベーターがあったりして、右往左往してしまった。

出展ブースはというと企業ブースエリアは、今回182社が参加。小間数も269小間と前回の4割増しだとか。NHKをはじめアニメやゲーム、アプリ系のメーカーなどが軒を列ね、様々なグッズが販売されている。企業ブース前の行列は会場内に収まりきれず、列の途中で切れて、続きは屋外の広場に並んでいる。

屋外の待機列

今回、筆者が認識した中で行列の長さが目に付いた作品は、『ユーリ!!! on ICE』『装神少女まとい』『Harmonia』『真空管ドールズ』あたりだろうか。

同人誌エリアは、一つ一つの小間が小さく、数も多いためさらに人の混みようが凄い。会場MAPはwebサイトに公開されているが、正直、慣れていないとかなり使いづらいと感じた。スマホなどで場所を探しながら移動するのはかなり苦労する。作品ジャンルごと分かれているとは言え、入り組んでいる上に、毎日出展者が変わる。

コスプレエリアは、屋外や屋上展示場に広がっている。数多くのコスプレイヤーが会場を彩り、多くの撮影者が列をなしていた。

来場者にコミケの魅力を聞いてみると「お祭り感が楽しい。」「欲しいグッズをやっと手に入れて嬉しい。」といった声が聞かれた。

そんな混沌とした中にあって驚くのは、これだけの人が溢れていながら、実に秩序立っていることだ。コスプレイヤーの写真を撮る人も順番をしっかり守って並んでいるし、撮られる側も独り独り丁寧に対応している。企業ブースの屋外に並んでいる“塊”は、順番が来ると、先頭にいる人が「通ります!」と声をかけながら、全員が手を挙げて、軍隊のように整然と通っていく。
さらに走るの禁止、エスカレーターの歩き禁止など、いろんなマナーが浸透している。

そしてあまり迷っている風な人を見かけない。自分と同じ取材者の人に、「カタログはどこですか?」と聞かれたが、そのくらいだ。
これだけの人数なら、初めての来場者も多いと思われるが、皆が慣れているかのように見える。
聞いてみると、同人誌も含め、事前にすべてを調べ、どの順番で買うか、どういうルートで移動するかを、決めて来ているという。それは初心者も同じで、ネットのコミュニティで膨大な情報を得て、また膨大な情報を発信して、当日に臨んでいる。さらに現場でスマホで補足しながら、速やかにブースを回っているのだ。

来場者の中心となるのは10代、20代の世代。オタクであって、発信者・コミュニティ志向がある世代、“虚と実を自在に使い分ける”世代なのだと改めて感じた。

■初めて出展する!

来場者だけでなく、企業や同人誌作家も多くの初出展者がいる。
初めて出展した同人誌作家に聞いたところ、もともとコミケが好きで自分も参加したいと思っていたとのこと。誰も来てくれなかったらどうしようと思い、Twitterやpixivで呼びかけたと言う。

そして今回が初めての出展となった企業にも話を伺った。

◇フリュー

フリュー社はセクシーモンスター娘RPG『モン娘☆は~れむ』が1周年を迎えたことで初出展することとなった。世界観事業本部の大野木さんによると、コミケ限定デザインのプリントシール機をブースに設置し、来場者の誘導と共に拡散を図っているという。

フリュー社ブース

『モン娘☆は~れむ』© FURYU Corporation. All Rights Reserved.

フリュー社ブースのプリントシール機

コミケ限定のプリントシール© FURYU Corporation. All Rights Reserved.

◇日本掛軸(光洋株式会社)

掛軸生産量が日本一の岐阜県から出展したのが日本掛軸だ。取締役の高橋さんによると、掛軸の魅力を若い人に知ってもらいたいと考え、初出展したとのこと。コラボする作品はかなり検討を要したが、拡散力のある女性に人気の作品ということで『刀剣乱舞』を選んだ。

日本掛軸ブース

『刀剣乱舞』掛軸

◇Akatsuki

Akatsuki社はいずれもスマホゲームの『サウザンドメモリーズ』『シンデレラナイン』『シンデレライレブン』を出展した。Social Game Divisionの宮本さんによると、「初めての出展で、来場者の引き付け方がわからず、難しかった。」とのこと。それでも3日間の出展の間に、受付場所をわかり易くしたり、レジ周りをスムーズにいくように配置を変えたりした。さらにブースのすぐ隣の空間に、『サウザンドメモリーズ』好きの人が輪=コミュニティを作っているのがわかり、その場所を人が通らないように客除けを行うようにしたという。
そして来年は大型モニターを使ったり、誘導マップを工夫したいと語った。

Akatsuki社ブース

コミケは来場者にとっても出展者にとっても“ハレ”の舞台だとよく言われる。お互いの熱意がぶつかりあう、まさにそんなイベントなのだ。不親切なマップや案内など意に介さず、情報の洪水を発信する出展者とそれをかき分ける来場者の懸命な駆け引きは、初めての参加だから感じることなのだろう。次回参加したときには、それが当たり前のことのように渦の中にどっぷりと浸ってしまうに違いない。

「コミックマーケット91」
http://www.comiket.co.jp/

(記事:中村 健一)

 

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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