女子と渋谷の展覧会from シブカル祭~前編~

12月9日から25日まで、渋谷の「GALLERY X BY PARCO」にて、『女子と渋谷の展覧会from シブカル祭。』が開催されました。「渋谷ストリート」をテーマに、新進気鋭の女性アーティストたちが、独創的な作品を展示しました。いったい彼女たちには巨大都市“渋谷”がどんな街に見えているのでしょうか。

■『シブカル祭。』

今回の展覧会を企画したのはパルコ。メディアコミュニケーション部の藤井さんによると、パルコの事業には“情報発信”、“街づくり”、“インキュベーション=才能発掘”の3つの柱があるといい、その才能発掘の場の提供として、2011年から『シブカル祭。』を行ってきたとのことでした。
渋谷パルコは今年から改修工事に入り、その間の才能発掘の場として開設されたのが、ここ「GALLERY X BY PARCO」で、そのこけら落としとして開催されたのが『女子と渋谷の展覧会from シブカル祭。』というわけです。渋谷という街で、若者カルチャーを生み出し続けてきたパルコにとって、この取り組みは、インキュベーションを行なってきたパルコの新たな施策とも言えます。

GALLERY X BY PARCO

さらに、藤井さんは続けます。「渋谷という街は、お洒落なファッションもあれば、映画館、ライブハウス、飲み屋など、いろんなものがごっちゃになっていて、いわゆる“カオスな街” だと思います。そういう場所には多くの人が集まってくるし、そういう場所から新しいものが生まれると思うんです。」

『女子と渋谷の展覧会from シブカル祭。』

このたび作品を展示するアーティストは、過去の『シブカル祭。』で活躍した女性の中から7人が選ばれたが、今回そのうちの5人に話を聞くことができたので、彼女たちの作品とともにご紹介したい。

■『揺れつづける 下へ』。

『揺れつづける 下へ』(作:青柳菜摘)

青柳菜摘さんの作品は、壁一面に二つの映像が投影されている。一つは渋谷の街の一人称視点の映像。もう一つはその一人称視点の人を客観的に見ている映像。その壁と手前に置いてある3枚のアクリル板には、地図のような模様が全面に広がっていて、この模様は“渋谷の人の流れ”を表しているという。
青柳さんはこの作品の真意をこう語る。「渋谷は自分の思いで過ごせる“主観の街”という側面がありますが、一方で常に他人から見られている“客観の街”でもあると思うのです。また、渋谷は、地下開発が進んでいて下へ下へと潜っていますけど、地上では“情報”と“人”が幾重ものレイヤーで重なり合っていて、そんな街の構造を立体的に表現したかったんです。」

青柳さんにとっての渋谷は<積層する>街なのだ。

作品と青柳さん

青柳菜摘さん

■『overwright save』

『overwright save』(作:愛☆まどんな)

愛☆まどんなさんは、2016年8月、建て替え前の渋谷パルコの大きな壁に、巨大なウォールペイントを制作した。休業期間に入り無人となったパルコは、人の手が届くところすべて、たくさんのグラフティ(落書き)で埋め尽くされた。愛☆まどんなさんのウォールペイントも例外ではなく、グラフティで上書きされた。
愛☆まどんなさんにとって、グラフティは、“作品を通じた対話”だと言う。今回の作品は上書きされたそのグラフティの写真に、さらに上書きしたものだ。「グラフティを描いた人への返事。」だと言う。

渋谷は街の至る所にグラフティが描かれている。愛☆まどんなさんにとっては、そのすべてがグラフティアートだ。
愛☆まどんなさんにとって、渋谷は<描いている>街なのだ。

愛☆まどんなさん

■『年賀状』

『年賀状』(作:若木くるみ)

若木くるみさんの作品は非常にユニーク。表は年賀状、裏に回ると自撮り用のスペースになっていて、そのまま年賀状に使えそうな写真が自撮りできる。若木さんは、「渋谷に来る人に楽しみを与えたい。年末のこの時期でしかできないことをやりたくて、この年賀状作品にたどり着いた」と語る。

若木さんにとって渋谷は<セルフィ(自撮り)>の街なのだ。

若木くるみさんの自撮り

後編はさらに2人の作品を紹介します。そして展覧会を通じて、渋谷という街を考察していきます。

 

『女子と渋谷の展覧会from シブカル祭。』
http://www.parco-art.com/web/gallery-x/exhibition.php?id=1030

>>後編へ続く

(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。.

 

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