「変テコじゃない“自然な東京”をコミックで描きたかった。」 ~アメコミ作家Steven Cummingsさんインタビュー

<渋谷とヒーロー>というFRIのコンセプトに沿って、オリジナルのイラストを書き起こして頂いたアメコミ作家の Steven Cummingsさんにインタビューをしました。
Cummingsさんは現在、Image社から出版されている人気のコミック『Wayward』の作者でもあります。

■子どもの頃から夢みた「アメコミ作家」

FRI(以下F):コミック作家になろうと思ったきっかけは?
Cummings(以下C):私が小学生の頃、病気で学校に行けない時期がありました。そんなある日、父が私のためにドラッグストアで3冊のコミックを買ってきてくれたのです。その内の一冊がMarvelの『Psi-force』第2巻だったのですが、もう完全に心を奪われました。それからというもの、アメコミの世界にどっぷりとハマっていきます。
本格的にコミックを書き始めたのは中学生の頃です。当時はアメコミが全盛の時代で、ベストセラーは1,000万部、売れない作品でも100万部は売れる、といった時代でした。各地で開かれるイベントで出逢うアメコミ作家たちは、皆リッチで子どもたちの憧れの対象でした。そういった彼らを見ていると、「将来は、自分もアメコミ作家になりたい!」と思うのは、自然な流れでした。

■『AKIRA』に驚愕と衝撃

F:日本のコミックとの出会いは?
C:大学では言語学を専攻し、日本語を学び始めました。その頃から日本の文化やコミックによく触れるようになりました。最初に買った日本のコミックは『Zガンダム』のフィルム・コミック第6巻でした。そして、『AKIRA』のマンガと出逢います。日本の『AKIRA』はモノクロですが、アメコミ版はカラーで着色されていました。街がダイナミックに破壊される描写に驚愕する一方で、それに似つかわしくない暖色系の色彩が使われていて、その色彩感覚に衝撃を受けました。

■好きな作家は『ルーキーズ』の森田まさのりさん

F:作風に影響を与えたコミック作家はいますか?
C:影響を受けたという意味では『シティーハンター』の北條司さんですね。でも、一番好きな作家と聞かれたら『Rookies』の森田まさのりさんです。彼の作品には沢山の登場人物が出てくるのですが、その誰もが魅力的でかつ、キャラかぶりがないのが凄いなと思います。

■変テコじゃない“自然な東京”を描きたかった

F:いよいよ『Wayward』のお話しですが、この作品を描くことになったきっかけは?
C:共同作者のJim Zubと企画を立てている時点ではニューヨークを舞台にしたサイキックな話だったのですが、私が舞台は東京がいい、と主張したらすんなり通って(笑)。当時のアメコミやアメリカ映画の中でも日本が出てくる作品はいくつかあったのですが、そのどれもが、あり得ない、変テコな日本ばかりでした。例えばニンジャが出てきたり――、すべてが新宿の駅前みたいな場所だったり――。でも、実際はそうではありません。東京の日常生活は、郊外の住宅地にも行くし、スーパーにも寄る。そんな自然な東京を舞台にできたらと思ったのです。

■『Wayward』の最初のファンは「猫好きの人たち」

F:『Wayward』を連載した当初はファンの方からどんな反響がありましたか?
C:実は『Wayward』にはもう一つ逸話があって、舞台を東京に決めた後、このイラストをZubが気に入ってくれて、この絵からストーリーを膨らませていったのです。それでコミック第1巻の表紙もこの絵にしたのですが、最初にこの本のファンになってくれた人たちは、何と“猫好き”の人たちだったのです(笑)。「ついに猫が出てくるアメコミができたか!」「猫が沢山いて嬉しい!」といったファンレターを沢山もらいました。

■渋谷よりも上野が好き

カミングスさんが、FRIのために書き下してくれた一枚

F:今回、渋谷の街を舞台に素敵なイラストを書き起こして頂きましたが、Cummingsさんご自身は渋谷がお好きですか?
C:実は、渋谷はあまり好きではありません(笑)。ものすごくごちゃごちゃしていているので――。東京では、上野ですかね。あと、歩行者天国のときの新宿や銀座や秋葉原も好きですね。
F:最後に一言お願いします。
C:『Wayward』の第3巻が発売されましたが、物語の最後で舞台が東京からアイルランドに移ります。どんどん世界が広がっていきますので是非読んでみて下さい!

Steven Cummingsさんの『Wayward』は電子書籍としても購入可能です。
http://www.goodreads.com/book/show/23622918-wayward-volume-one

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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