アニメ『星娘』展開に見る2つのポイント

先日10月14日に角川ゲームスが、スマホゲーム『スターリーガールズ』と、その作品を基にしたアニメ『星娘(ほしむす)』の制作発表を行いました。
このプロジェクトについてユニークな2つのポイント「①コンテンツ展開」と「②中国展開」について考察します。

■コンテンツ展開‐ミックスからパラレルへ

現在、コンテンツ展開の主流となっているのは、様々なメディア、映画、小説、ゲーム、グッズなどで展開するいわゆる「メディアミックス」という手法です。

日本においての最初の大規模メディアミックスは1973年の『日本沈没』と言われています。小説刊行直後から間髪を入れずに映画、ラジオドラマ、テレビドラマ等様々な形態で相次いで制作され、それらが相乗効果を生んでベストセラーとなりました。その後、角川書店が同様の展開で多くのヒット作を世に送り出したのは、周知の事実です。

以来、現在でも『妖怪ウォッチ』をはじめ、多くの作品で同様の展開が行われており、今後も主たる展開方法として用いられていくと思います。

今回発表された角川ゲームスの『スターリーガールズ』は、星を擬人化した女性キャラクターを中心とする育成シミュレーションゲームです。角川ゲームスと中国のAlpha Games社が資本業務提携したことで生まれた作品で、開発は角川ゲームスが行い、中国での展開はAlpha Games社が、中国以外での展開は角川ゲームス社が行います。同時に『スターリーガールズ』を題材とした、『星娘(ほしむす)』というアニメを制作し、Alpha Games社が中国でネット配信する予定です。(中国で人気が出たら、日本への逆輸入も考えられます)

ポイントは、角川ゲームスの安田社長が、アニメ『星娘』を元に、Alpha Games社が中国で、ゲーム化やグッズ展開を自由に行ってもかまわないと述べている点です。これまでのメディアミックスは製作員会、原作者など中心となる著作権者の指揮下で、著作権使用料が著作権者に入ってくるように展開が行われました。
それに対して、今回の『星娘』の場合は、著作権者の干渉を受けることなく、中国で独自に展開していく、言わばパラレル展開とも呼べる方法です。
もちろんこういったパラレルな展開は、この作品が初めてではありませんが、著作権者の足枷を受けることなく、参加社が地域やメディアなどのカテゴリー分けでパラレルに展開して、結果として大きなコンテンツに育てていく施策は、珍しいケースと言えます。

最近Youtubeでは「ピコ太郎」が話題ですが、「ピコ太郎」を模した、いわゆる関連動画と呼ばれるものが多数UPされています。現在、Youtubeでは関連動画を見つける機能が非常に進んでいて、見つけ次第、著作権者の意向で、削除されるか、もしくはその動画についている広告料を著作権者に持ってくることができます。「ピコ太郎」は、関連動画の広告料でかなり潤っていると言われています。
そんな中で、任天堂はユニークな試みをしています。自社作品のプレイ動画など、関連動画について、投稿者(登録が必要)に広告料の6~7割を還元するというものです。これにより投稿者は喜んでプレイ動画を上げるでしょう。
先ほどの角川ゲームスの場合同様、著作権者としての利益より、Win―Winの関係を築いて、まずはコンテンツの拡散を狙う施策です。こういったコンテンツの育て方は、今後増えていくのではないかと考えます。

■拡大する市場!中国展開

今回の『星娘』には別の観点からのポイントがあります。中国資本で作られるアニメですが、演出家をはじめスタッフは全て日本人、つまり純和製の作品です。中国のマンガ・アニメ市場規模は2014年で1000億元(約1.5兆円、JETRO調べ)と推測されていますが、Alpha Games社はこれからも年々増えていくと予想しており、さらに中国での日本のアニメ・マンガの人気が高いことを鑑みると、日本のテイストをそのまま持ってくることが成功につながると考えているそうです。

今回の取り組みが成功すれば、中国資本で製作した日本のゲームやアニメを中国の市場に展開するという、一つのモデルケースになるかもしれません。

『スターリーガールズ』公式サイト
http://www.starlygirls.jp/

(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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