組み合わせることで“ものづくり”は始まる

巷に溢れるヒット商品や作品。これらがどのようにして生み出されるのか。その発想法の一端を考察してみたいと思います。キーワードは「組み合わせる」。

■水筒『Ecomo』の驚くべき機能

最近、米国のクラウドファンディングサイト「kickstarter」でユニークな商品を見つけました。『Ecomo』という、一見、ハイキングなどに持っていく普通の水筒です。

『Ecomo』 出展「kickstarter」

緑豊かな山林などを歩いているとき、美しい清流や湧水に出会うときがあります。しかし、いくら無色透明で清潔に見えても、有害物質やバクテリアで汚染されているかもしれない。そのまま飲むのはちょっと心配…。

そんな時にこの『Ecomo』。水質検査機能付きのスマート水筒なんです。検査の結果はスマホや付属品の腕輪に表示されます。「GREAT」と表示されれば飲んでOK。

しかも飲んではいけない場合でも、内蔵フィルタで浄水できます。水筒の水がなくなった場合でも、川や井戸などから補給ができるわけです。そして、どの位水分を摂ったかなどの履歴も出るため、熱中症対策にもなります。

この商品は「kickstarter」において、目標の9倍以上の出資額を集めました。

そんな『Ecomo』ですが、注目を集めた理由は、「体験型アクティビティが人気を集めている」、一方で「人々の衛生志向・健康志向が高まっている」、その両方のニーズ、方向性を上手く組み合わせたことにあると思います。

■『猫侍』ヒットの秘訣

ソフトにおいても、ハードにおいても“ものづくり”の発想法はよく絵の具の色作りに例えられます(あくまでも一つの方法です)。無から新しい色は生まれません。12色の絵の具を様々に組み合わせ続けている中で、ある時、今まで見たことのない斬新な色が作られるのです。

筆者のお気に入りの作品に『猫侍』という作品があります。現在の猫ブームになるより前、2013年から、ドラマに始まり、映画化、マンガ化と多岐に展開しています。見始める前に気になったのが『猫侍』というタイトル…、 どういう意味だろう?と思いました。猫は好きだし、時代劇も見るけど…

“猫を飼っている侍?”“猫好きの侍?”

そのどちらでもなく、作品を観ての個人的な感想ですが、「まだら鬼」と呼ばれる凄腕の剣客「侍」と、かわいい「猫」(名前は玉之丞)が同じ空間に共存したら…、そんな作品でした。

常に緊張感の中に身をおき、殺伐とした日々を送る「侍」、マイペースでいつものびのびと穏やかな日々を送る「猫」、全く異なる2つの存在を組み合わせることで、ちゃんと“侍もの”でありながら、ちゃんと“猫もの”になっていて、その上で『猫侍』という人が斬られることのない、新しいタイプの時代劇コンテンツが生み出されたのでした。

繰り返しになりますが、とても身近で、でもとても結びつかない2つを組み合わせることでできた“新しい何か”。その響きや在り様が、多くの視聴者の興味を引いたのではないでしょうか。決してメジャーではありませんが、息の長いヒット作品となっています。

■ポイントは“組み合わせる”

もちろん、“ものづくり”はそんなに簡単なことではありません。王道の要素を詰め込んだだけの面白みのない色や、奇をてらい過ぎてゴテゴテした色の作品などをよく目にします。

それでも、まずは“組み合わせてみる”、それが“何か”を生み出すきっかけになるかもしれません。

(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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