世界を席巻する“Emoji” そのルーツと今を追う

今年4月に、米ソニー・ピクチャーズ・アニメーションが“Emoji”をテーマにした長編アニメ映画を制作中であると発表した。このニュースに驚いた人も多いことだろう。いつの間にか、スマートフォンの中の「黄色い顔たち」は、すっかり私たちの生活に入り込んできている。
本レポートでは、そんな“Emoji”の起源から広まり方、そして日本では今どう扱われているのか? についてお届けする。

iPhoneの絵文字

 

■世界を席巻する〝Emoji″

広告会社「EMOGI」が2015年に発表したレポートによると、全世界ネットユーザーの92%は“Emoji”を使用しているそうだ。
また、オックスフォード英語辞典が選ぶ「今年の単語」は、史上初の「泣き笑い」という絵文字が受賞したという。
さらには、米人気歌手「ケイティ・ペリー」のミュージックビデオのテーマになったり、「マクドナルド」のCMの主人公になったり、「ヴェルサーチ(VERSACE)」、「シャネル(CHANEL)」などファッション業界のトップブランドとコラボしたり――。“Emoji”は、単にデジタルコミュニケーションとして使用されるだけでなく、広告・プロモーション、音楽、消費者調査、ファッションなど、様々な業界で大活躍している。

■“Emoji”の原点

そんな“Emoji”であるが、実はその起源は日本にあった。1998年、日本の通信会社NTTドコモは携帯電話でインターネットを使ってメールを送れる新サービス「iモード」を打ち出したが、その際、176種類の絵の記号を作った。それが今の“Emoji”の原点だと言われている。その後、絵文字は日本人のデジタルコミュニケーションに欠かせない存在になった。

NTTDocomoが最初に出した絵文字

 

2008年、iPhoneが日本に進出する際、日本のパートナー企業であるソフトバンク社は絵文字の導入をアップル社に提案した。
2008年の段階では、絵文字の使用はiPhoneの言語を日本語に設定した場合のみに限られていたが、それから3年後の2011年、ようやくすべての言語に絵文字が搭載され、“Emoji”という言葉は、世界共通語となった。その後、“Emoji”はUnicodeに編集され、Androidスマホにも搭載され、さらにはTwitter、Instagramなどにも対応し、今の世界的人気に至ったのだ。

■発祥の地 日本の現状

世界中でブームを巻き起こしている“Emoji”であるが、実は、発祥の地である日本では、キャラクターとしてもビジネス的にもあまり使われていない。それはなぜか?

一つはマンガ文化の影響だ。1998年に初めて登場した絵文字をよくよく見ると、マンガで使う符号(「漫符」)が沢山含まれていることが見て取れる。例えば、「焦り」や「困り」を表現する汗の水滴型マーク、「怒り」を表現する浮き出た血管の十字線、「閃き」を表現する電球マーク、等々…。マンガ的記号になじみのある日本人には、絵文字の出現は「驚き」ではなく、ある意味「自然」であった。自然発生したものをずっと使ってきた日本人にとって、今の“Emoji”も“昔の絵文字”も同じもの。日常であり、当たり前のものなのだ。

もう一つの理由は、代替品の豊富さだろう。例えば絵文字より可愛く、どのプラットフォームでも同様に表示される「顔文字:(´・ω・`)」は、日本の若年層に人気だ。情報番組「めざましテレビ」が行った調査(2013年6月)によると、日本人10~20歳代の約8割はメールやチャットをする時に「絵文字」より「顔文字」を使っているという。

顔文字の例

 

また、日本で5,800万ユーザーを誇るメッセジャーアプリ「LINE」(2016年3月時点)がブームを起こした“スタンプ”は、キャラクターと言葉が一つの画像になって、多くの日本人に使われている。“Emoji”と比べると、より豊かな感情表現ができ、様々な場面で使え、キャラクターのバリエーションも多い。「ライブメディア」の調査(2014)によると、LINEユーザーの約35%が有料の“スタンプ”を購入しているという。さらに日本では、“スタンプ”から生まれた各種キャラクターが商品化されたり、ゲームになったり、店舗化されたりしていて、“Emoji”よりずっと影響力が増している。

「うさまる」出典元:LINE CREATORS MAGAZINE(http://creator-mag.line.me/ja/

 

“顔文字”と“スタンプ”の流行。世界のブームとは、また違った動きを見せている日本の非言語コミュニケーション文化であるが、この文化がより進化・発展することで、異言語間の意思疎通の円滑化(言語問題の解決)にもつながっていくかもしれない。 ̄\_(ツ)_/ ̄

(記事:方 錦怡)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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