日本の余暇・レジャーの実態
~頻度や時間、お金から見えてきたもの~

フィールズ研究開発室(FRI)では余暇行動の実態やその背景にある価値観等について1万人に400問の設問に回答いただいたインターネットによるアンケート調査『Fields Yoka Survey(フィールズ よか サーヴェイ)』(以下FYS ※1)を実施しました。
今回はその中から、余暇に対する時間とお金の使い方に注目し、調査結果をご説明いたします。

■時間を使っている“コンテンツ型余暇”とお金を使っている“体験型余暇”
日本人の余暇に対する時間とお金の使い方について、調査を行った27の余暇の「時間とお金の利用の現状」をマッピングしたのが図1になります。

横軸はお金と時間のいずれかを多く使っているのかの軸で、右は時間を多く使っている余暇、左はお金を多く使っている余暇です。
縦軸は時間とお金の利用が1年前と比べて増えているか減っているかの軸で、上は増えている余暇、下は減っている余暇です。
ここからわかることの1つとして、横軸を中心に見ると、余暇を3つに分けることができます。(図2)

1つは右の青で囲んでいる「時間を多く使っている余暇」で、テレビドラマ、スマホゲーム、無料動画サイトがそれにあたります。
もう1つは左の緑で囲んでいる「お金を多く使っている余暇」で、複合ショッピング施設、パチンコ、パチスロがそれにあたります。
真ん中のグレーで囲んでいるその他の余暇は「時間もお金もあまり使っていない余暇」になります。
また、縦軸を中心に見た場合にも余暇を3つに分けることができます。(図3)

上の青で囲んでいるのは「お金と時間の利用が増えている余暇」で、有料動画サイト、無料動画サイト、スマホゲーム、体験型イベント、アニメイベントなどが見られ、比較的新しい余暇、または最近になって盛り上がりを見せている余暇がこれにあたります。
次に下の緑で囲んでいるのは「お金と時間の利用が減っている余暇」で、パチンコ、パチスロ、据え置き型ゲームなど、比較的古くからある余暇がこれにあたります。
最後にこの図を左右に大きく分けて見ると(図4)

左にあるお金を使っている余暇は、いわゆる体験型余暇や外出余暇と呼ばれるものが多く、右にある時間を使っている余暇は、いわゆるコンテンツ型余暇やメディア接触と呼ばれるものが多く、「モノ消費からコト消費へ」などが言われるようになって久しいですが、それが顕著に表れていると思われます。

■ライフステージ別の時間とお金の使い方
次に、ライフステージ別の余暇に対する時間とお金の使い方についてご説明します。
図5は、横軸は今回調査した余暇の利用時間の総量になっており、縦軸は利用金額の総量です。

ライフステージを、小学生、中高生、大学生、独身、既婚子供なし、高校生以下の子供あり、子どもが高校生より上で子育てが終了、以上の7段階に分け、それを男女別にしてプロットしたものです。
男性について、ライフステージの順に線でつないでみると図6のようになります。

時間については、小学生→中高生→と増加し、大学生の時がもっとも余暇に使える時間が多くなり、就職すると余暇に対する時間は減り、結婚、子供をもうけると余暇の時間は減っていき、子育てが終了するとまた増えていることがわかります。
お金については、小学生と中高生はほぼ横ばいで、大学生になるとだいぶ増加し、独身の時がもっともお金を多く使っており、そこからは時間と同様に、結婚、子供をもうけると減っていき、子育てが終了するとお金も増えます。
今回の調査では旅行やドライブ、外食などの余暇については時間とお金については調査をしておらずこの図には含まれていないため、恐らくそれらも含めると子育てが終わった人の時間とお金はさらに多くなると思われます。
同様に、女性についても見てみると(図7)、

基本的には男性と似た形になっていますが、異なる点として、もっとも多くの時間を使っているのが中高生となっており、これは旅行などの余暇が含まれていないことが影響しているものと思われます。
また女性は結婚すると余暇の時間が増えており、少なからず専業主婦がいることが影響していると思われます。

■時間とお金の使い方と欲求の関係
次に、余暇における時間とお金の使い方と欲求の関係についてご説明します。
余暇と、余暇に対する各種の欲求、さらに各余暇に使う時間とお金の増減について、双対尺度法(※2)という分析を行いました(図8)。

まずはじめに言えることは、時間とお金の増減の方向が下から上に向かって増加しているということです(図9)。

時間とお金の増減の方向に対し、薄い青でプロットされている各種の欲求は、左上と右上、大きく2つの方向性があるように読み取ることができます(図10)

左上の方向は、「便利である」という欲求を頂点とした方向、右上の方向は「体に良い、健康に良い」という欲求を頂点とした方向と読み取ることができます。
左上への方向性をより詳しく見ると、大きく2つに分けて読み取ることができます(図11)。

比較的上にあるものは、「便利である」以外に、「お得感」「十分に試してから利用することができる」「他との比較がしやすい」などがあり、これらは位置関係から「今はまだ十分に満たされていないが、今後余暇に期待される欲求」」であると考えることができます。またこれらを言い換えると「自分で良し悪しを判断できるだけの透明性のある情報開示」といった表現をすることができるものと思われ、とても重要な要因であると考えられます。
次に、比較的下にある「バリエーションが多い」や、「いつでも」「どこでも」といった欲求は、位置関係から考えると、「既に当たり前になりつつある」欲求であると考えられます。これらは要因としては重要ですが、あって当たり前だがプラスの評価にはならず、ないとマイナス評価になるものと思われます。
さらに右上の方向性を詳しく見ていくと、大きく4つの要素に分類できるように思われます(図12)。

【五感刺激】
体に良い・健康に良い、感覚的に心地よい
【独自性】
他にはない優れた商品・サービス・体験、運営企業や制作者・サービスの理念に共感
【つながり】
その体験中に他人と交流できる、自分が成長できる・他人に対し演出できる、インターネットのネタになる、リアルな友人知人との話題のネタになる
【他者の評価が得られる】
きちんと説明があり納得して利用できる、専門家の裏付けがあり信頼できる、口コミの情報が入手しやすい

これらについては位置関係から考えると、強弱はあるもののどれも今後の余暇に求められるものと考えられます。
特に、独自性として「他にはない優れた商品・サービス・体験である」ということ以外に、「運営企業や制作者、サービスの理念に共感できる」というようなことも今後求められることや、先に述べた左上の方向性にあった「自分で良し悪しを判断できるだけの透明性のある情報開示」ということ以外に「他者の評価がどうなっているのか」についても、その情報が得られることが求められるようになっていることなどが挙げられます。最近では、自分の判断だけでなく、ネットによる口コミなど他者の実際に利用した感想などが手に入ることに加え、SNS「いいね」と言われたいなどの思いの強まりが影響しているものと思われます。
今回の報告は以上になります。
今回の報告ではスペースの都合などもあり、FYSのほんの一部に過ぎません。また機会があれば報告をさせていただきますので、どうか楽しみにしていてください。

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(※1)「Fields Yoka Survey 2016」
当社が2015年12月に実施したWebアンケート調査です。全国の小学生~64歳の男女10,000人に対し、余暇に対する行動や価値観などについて聞きました。
(※2)「双対尺度法」
各項目の相対的な距離を算出し、2軸平面上にプロットする手法です。
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(記事:太田匡則)

(本レポートは2016年3月18日に行われた「フィールズ総研フォーラム」で発表された内容です)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

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