渋谷ストーリー Vol.1 JR渋谷駅周辺

渋谷は変わっていく。

変わり続けることが、都市の本質だとしたら、

まさしく渋谷は、日本の時代を象徴する。

2016年に撮影された渋谷は、

きらびやかに、そして光のうちに闇を蔵して、

「シブヤ」へと変貌しつつあった。 

新聞や雑誌のスタンド。落書きはデザインなのか、それとも誰かのいたずらなのか。

どちらにせよ、それはシブヤに対する無名の反抗なのだろう。

 

1980年に新島から渋谷区に寄贈されたモヤイ像。シブヤにいきなり太古の表情が現れた衝撃は大きいが、この像は「モヤイ像」であって南米チリの模造ではない。「モヤイ」は「舫い」で、船をつなぐから転じて人と人をも繋ぐことに想いをはせて製作されたことはあまり知られていない。

 

煙草の香りが街から消えて久しい。100害を順次証明されながらも、陽だまりに憩うひとときに、不思議と似つかわしいと感じるのは、ノスタルジーか、刷り込みなのか。

しばしの一服も、少し肩をすくませた、町の片隅での光景になってしまった。

 

渋谷は今、再生の時にある。

戦後の時代を作ってきた街の顔を捨て去って、新しい時代の顔を探すのだろう。

シブヤは変わっていく。

しかしそれに追いつく速度でヒトが変わっていくことは難しい。

 

顔を上げて立ち止まっている人の、何と少ないことだろう。

機械を通じて必死に何かとつながろうとしている人々の中で、まっすぐに前を見つめる姿は美しい。

 

時代の変化と共に、街の重心も変化して、これまであまり人の通らなかった道が混み、ファッショナブルな通りに人影が薄くなる。渋谷駅のわきを抜けていく国道246号線を超えた地域も、ここ10年、発展が目覚ましい。シブヤは膨張する都市を象徴している。

Photo by Taichi Seo

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