紅林大空さんインタビュー

■ デコラのカリスマ

世界中を探してもどこにも似たものがない、唯一無二のファッションが生まれる街、原宿。その原宿で90年代に基礎が生まれ、リバイバルのようなかたちで2010年代に大きく広がったトレンド、“デコラ”ファッション。

紅林大空さんは、そんなデコラファッションを得意とするファッションモデル。原宿系ストリートファッション誌「KERA」の読者モデルからキャリアをス タートさせ、イラストレーションやバンド活動など、活躍の場を広げている。そんな紅林さんに、世界で注目される個性的なデコラファッションの人気の秘密を 聞いた。

目にも鮮やかなスカイブルー×ピンクのパーカーとキッチュでキュートなチュールスカートを組み合わせた、デコラらしいカラフルな出で立ちでインタビューに 臨んでくれた紅林さん。今日のファッションのポイントを「ヒツジのぬいぐるみネックレスを中心に、上から下までフリルでふわふわにしました。ブーツはもと もと白い紐が入っていたのを、カラフルな靴ひもを三種類買って、下から順番にアレンジを加えて編み上げていきました。あとはいつもどおりブレスレットや ネックレスがいっぱいですね」と説明してくれた。

——まずは紅林さんのファッションの特徴である“デコラ”について教えてください。

紅林さん:もともとの定義で説明すると、“デコラティブ”、つまり過剰装飾ですね。頭、顔、手首、全身を必要以上に装飾するファッションのことです。たと えば前髪のこのたくさんのピンも、デコラの特徴のひとつです。同じようなファッションのジャンルで“派手子(ハデコ)”というのがあるんですけど、そちら はサルエルパンツを履いているのですが、デコラは基本的にはスカートで、キッズスタイルにガーリーな要素を取り入れています。最近は頭にピンが付いていな くても、カラフルで派手でキッズスタイルなファッションは、デコラという認識になっていると思います。

——デコラファッションは「KERA」で掲載されるような原宿ストリートファッションのひとつですが、紅林さんが「KERA」の読者モデルになったきっかけを教えていただけますか?

紅林さん:私は静岡の出身なんですけど、オシャレをして出かけていく場所みたいなのは周りにあまりなくて。でも高校生のときにKERAの地方スナップ隊が 静岡にやってくるという噂を聞いて、「本当にやってるのかな?」と見に行ったら写真を撮ってもらって、けっこう大きく載せてもらったことがありました。そ の後、原宿に行ったときに、やっぱり街角スナップを撮っている編集部の人がいて、私を覚えていてくれたんです。それがきっかけで読者モデルになりました。 静岡で撮ってもらったときはピンクのカーディガンに黒いドット、子豚の帽子をかぶってそんなに派手じゃなかったですね。

―—子豚の帽子ですか! 編集部も「あの子だ!」となりますよね。紅林さんのファッションに対するこだわりなどは、どんなものがありますか?

紅林さん:売っているものをそのままで着るっていうのは自分の中ではあまりやりたくないなという意識はあります。今身に着けているアクセサリーはだいたい ハンドメイドで、自分で作ったり友達が作ったり、お互い作ったものを交換したり。服は原宿で買った古着が多いんですが、自分でバッジを付けたりしながら着 て、私のものになるまで時間をかけていく、という感じです。

——紅林さんはご自身のオシャレやメイクのコツを、ブログなどで積極的に発信していらっしゃいます。

紅林さん:私も出身は原宿から遠いところなので、派手髪やメイクでオシャレする、ということに憧れはすごくあったけど、お出かけする場所がないからどうす ればいいのかわからなかったんです。でも今はこうやって毎日楽しくオシャレをして生活することができているので。そういうふうにオシャレを楽しみながら生 きるやり方があるよ、というのを提案してあげたいなという思いがあります。

——過去の自分が知りたかったことを、下の世代に提案しているんですね。日本人は世界的に見ておとなしい、シャイなイメージがありますが、そのなかでデコラのようなド派手なファッションが必要とされている、と感じることはありますか?

紅林さん:海外の方からの質問でも、「私の住んでいる場所でこういった格好をすると石を投げられます。バーに行くと出入り禁止になります」というようなお 話をよく聞きます。でも、別にデコラファッションは原宿でも目立つ、というか、原宿だからといってみんながこういう格好をしているわけではないですよね。 人と違う、それでも楽しく生きていくことができる。そのマインドが大事で、ファッションがカラフルだと気持ちも明るくなるし、やめろって言われて、やめら れるものでもないです。
私は派手なファッションをして何か主張をするわけではないですけど、全部が全部同じだったら面白くない、そういうときにこういう格好をしちゃうのが私なのかなって思います。

ファッションという広大なフィールドの中で、紅林さんははっきりと、デコラファッションの意味や、ファッションという分野の中でデコラがどこに位置づけら れているのかを意識している。その背後には確固たる哲学があり、なにより自分がどうありたいかを表現するための強い意志がある。
装うことはどんなスタイルでもとてもロジカルで、だからこそ楽しい自己表現であることを、紅林さんはそのファッションを通して教えてくれているのだ。

■ 広がる紅林さんのフィールド

独自のファッションを常に生み出し続けるKAWAIIの聖地・原宿で、2010年以降、大きな進化を遂げた“デコラ”ファッション。カラフルかつポップな 色合いで全身を包み、前髪に大量のピンなどの“過剰装飾(デコラティブ)”を施した姿でフィールズ本社会議室に現れた紅林大空さんは、デコラファッション の第一人者であり、原宿ストリートファッションを扱う雑誌「KERA」のモデルだ。

続いてのインタビューでは、紅林さんの活躍のフィールドと、その背後にある紅林さんの仕事への思いを聞いた。

——モデル以外にも紅林さんは多彩に活躍されていますが、現在はどういった活動をなさっていますか?

紅林さん:原宿系のブランドとのコラボで服を作っています。私はイラストを描くので、自分で描いたものをデザインしたり。私自身はユーチューバーではない んですけど、チャンネルを運営している方からオファーをいただいて、メイクのやり方をYouTubeで教えてあげたり。SNSだと……Snapeeeのフォロワーは73万人くらいで、海外の方の方が面白がってくれてるみたいです。

——海外の方からの反応は、どんなものがあるんでしょうか?

紅林さん:原宿ファッションというものに対してとにかく熱いです。先日、ニューヨークでイベントをしたんですけど、みなさん今日のためにとっておきのオシャレをしてきたよ、とひとめで分かるくらい素敵で、こちらも胸が熱くなりました。

——そういうファンの方達にとって、やはり原宿は憧れの場所なんでしょうか?

紅林さん:そうですね。日本に来て、原宿のファッションを着て原宿を歩くことに意味があるので。もし日本に来たら私は喜んで案内するよっていつも言っています。でもそういう子たちはアンテナも鋭いので、かわいいお店ができても私より早く知ってたりします。

——なるほど。紅林さんご自身は、ファッションのお手本や、影響を受けた人はいらっしゃいますか?

紅林さん:ファッションで憧れている人は、エリザベス女王です。ファッショニスタだなって。365日、同じ色味のものを着ないけどいつも上品にまとまっているんです。
ファッションを好きになったきっかけというと、音楽ですね。ロックが好きで、厚底とか派手髪をするのはロックの影響が大きいです。今のこの刈り上げヘアも!

——音楽というと、紅林さんはバンドのボーカルとしても活躍の幅を広げています。モデルとは違う分野の仕事をする上で、受け取るものや感じることは、何か違うものがあるのでしょうか?

紅林さん:モデルのお仕事だけをひとりでやっていると、イベントやショーに呼ばれる、ランウェイを歩く、写真を撮る、で終わってしまうんですね。活動の場 も自然と、大きい街とか会場とかに限られてしまう。そういうなかで、「もっとみんなとお話ししたい、私からみんなに会いにいきたい、そのためにはどうした らいいんだろう」と思ったとき、バンドなら、自分たちで企画を立ててライブができて、いろんな場所に行けるんですね。バンドのメンバーは5人、私はおもに 作詞とボーカルを担当しています。ハロウィンのイベントでは会場にお化け屋敷を作ったり、すごく楽しいです。

——バンドを組むことで、まったく別の仕事のやり方ができるようになったんですね。

紅林さん:モデルとかイラストとかでひとりで活動しているときには、人と何かをすることに重きを置いていなくて、ひとりのほうがやりたいことできるなって 思ってたんですけど、最近は、誰かと協力することで今までとは違うこと、ときには今までより大きなことができるなと感じています。そうやって仕事をしてい くうちに、またどんどん素敵な人に巡り会えていったら、いちばんいいかな。

本記事は、日本の文化や観光を国内外に発信するメディア「WAttention(http://www.wattention.com/)」と、エンターテイメントの研究を行うフィールズ研究開発室「FRI」のコラボレーション企画です。

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